じゃあ、○○を✕✕にしたらいいんじゃない?
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この本に興味をもってくださりありがとうございます! 【本作は】 ↓ “何気ない言葉の痛み”をテーマにしたショート×ショートです。 𓏸𓏸したらいいんじゃない? って、 言うだけなら簡単ですよね。 ▷背中を押すため、応援するため、言う側の気持ちと ▶無責任だと感じたり、簡単に言わないで欲しいと思ったりする、言われる側の気持ち ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー このたった一言が、 誰かの人生を 変えたり変えなかったりする。 会話に潜む背景へ深く潜ってみる、 複雑な心境を描いたショート×ショート。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ▽ これからもたくさんの読みやすい短編集を本にしてお届けします! 新作の通知のため、ぜひ BOOTHのフォローをして 応援よろしくお願いします! また、割引キャンペーンやプレゼント企画の告知などもしますので、 SNSのフォローもよろしくお願いします! Ⅹ(旧Twitter):@say6novel 著者:セーイ6
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更にもう一話ぶん! noteかPDFで試し読み出来ます! note↓ https://note.com/say6novel/n/n95d9fa13be7d ------------------------------ 風邪を伝染(うつ)しちゃえばいいんじゃない? 「お母さん、ボク死んじゃうの?」 不安なときには人間、誰しも弱気になる。 私が息子と同じ歳の頃も、こんな風に母親を困らせていたのだろうか。 そんなことがよぎり、つい頬がゆるむ。 「大丈夫、すぐ元気になれるよ」 私の顔を見て安心したのか、ほっとした様子で息子は目を閉じる。スースーと寝息を立てる息子の寝顔に、昔の私を重ねる。 あのとき、私の母が微笑んだのもきっと、今の私と同じ気持ちになったからだ。 息子の言葉で、不安なのは自分だけじゃないと気付かされ、余裕のない自分に笑えてしまった。そのまま、柔らかい笑顔に変わった。 それだけのことだった。親と子で、これだけ見え方が違う。子育てというのは奥が深い、いつも息子に教わってばかり。 「お母さん…?」 「あら、寝付けなかったか、どした?」 色々と思い浮かべていたら、息子が起きてしまった。昼も夜も寝ていたら、退屈だろう。 何か楽しませてあげられるものはないか、私は考える。絵本でも読んであげようか、おかゆを作ってみようか、それとも… 「お母さんも、風邪になっちゃう?」 「え?どうしたの、急に」 「ボクとこんなに一緒にいたら、お母さんも風邪になっちゃう?」 ふるふると私を見つめる瞳が揺れる。あぁ、私の子はなんて優しいのだろう。熱で顔を赤くしながら、自分より私の心配をしている。 私は、この子のお母さんで良かった。この子にお母さんと呼ばれるのが、本当に幸せだと思う。私は息子の頭を優しく撫(な)でながら、昔の母が私へ言った言葉を答えた。 「いいんだよ、伝染(うつ)して。風邪は伝染(うつ)しちゃえば治るんだから」 「そうなの?」 「うん、お母さんは大丈夫。もし伝染(うつ)ったとしても風邪くらい、すぐ治しちゃうもん」 「そっかぁ、よかったぁ」 ぼーっとしているのだろう。分かったような分からないような頭で、夢見心地みたいだ。 私も初めてこう言われたとき、安心した。 あぁでも、それと同時に気に掛かることもあったのだっけ。そんなことを今日は考える。 「じゃあ、お母さんの風邪はボクに伝染(うつ)してね」 驚いた。やっぱり親子だ、私と同じこと言ってる。ついつい、また笑みがこぼれる。 それじゃ、いつまでも伝染(うつ)し合いっこになっちゃうな、なんてこの子も考えているのだろうか。きっと、そうなんだろうな。 「そうだねぇ、そしたらお母さんのこと看病してくれる?」 「うん」 また、スヤスヤと眠りについた。 安心してくれたかな? 風邪を伝染(うつ)しちゃえば治るだなんて、もちろん迷信なのだけれど。そこには優しい気持ちが詰まっている。きっと私たちは、それをやり取りして来たのだろう。だって、 熱心に看病したくなるんだもん。大事な人だから。辛いとき、そばに寄り添いたくなるんだ。一緒に居たいんだ。そうして熱心に看病した人に、風邪は伝染(うつ)るんだよね。 でも、それを否定はしたくない。そしてその優しさもまた、お互いに伝わるんだ。 さっきの息子みたいに伝染(うつ)したら悪いって気にしちゃう病人に、そんな負担をかけたくないって気づかう看病人。だから言うんだ、この言葉を。気づけば意味も深く考えず、呪文みたいに唱えている。伝染(うつ)しちゃえばいいんじゃない?って。 きっとこれには、病気に立ち向かうお母さんの、覚悟と優しさが表れているんだ。そして今なお、それが脈々と受け継がれている。 息子もいつか、誰かに言う日が来るのかな。 とても美しい、この優しい嘘を。 ------------------------------ ここまで読んでいただきありがとうございます。 他にも多数の試し読みをご用意しております! 少しでも気に入った作品あれば、続きのご購入をご検討くださると幸いです! 今後とも応援よろしくお願いいたします。
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